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生活費の「固定費」と「変動費」を分けて考えるコツ

家計を管理するうえで欠かせないのが、支出を「固定費」と「変動費」に分けて考える視点です。この2つの区分を意識することで、どこにお金が流れているのかが明確になり、無駄な出費を減らすヒントが見つかりやすくなります。

固定費とは何か

固定費とは、毎月ほぼ決まった金額が発生する支出のことを指します。家賃や住宅ローンの返済、水道光熱費の基本料金、通信費、保険料、教育費の授業料などが該当し、生活を送るうえで避けられない費用が中心です。

これらは金額が大きくなりがちですが、一度契約を見直せば長期的に節約効果が続くため、家計改善の最初のステップとして取り組む価値があります。

変動費とは何か

一方、変動費は月ごとに金額が変わる支出を指し、食費や日用品費、交際費、娯楽費、被服費、医療費などが含まれます。行動や選択によって金額が変わるため、自分の意識次第でコントロールしやすいのが特徴です。

ただし、食べたいものを過度に我慢したり、楽しみを削りすぎたりするとストレスが溜まりやすい面もあるため、バランスを保つことが大切になります。

固定費と変動費を分ける具体的なコツ

実際に家計を整理する際には、どのように支出を振り分ければよいのでしょうか。ここでは、分類をスムーズに進めるための実践的な方法をご紹介します。

支出を書き出してリスト化する

まずは過去2~3か月分の支出を紙やアプリに書き出してみましょう。レシートや明細書を見ながら、どんな項目にいくら使ったかを整理します。このとき、すべてを完璧に記録しようとせず、大まかな金額でも構いません。

書き出す過程で「これは毎月ほぼ同じ金額」「これは月によって変わる」という傾向が見えてきます。

固定費と変動費に振り分ける基準

支出を振り分ける際の基準として、中国労働金庫の解説では、固定費を「毎月定額あるいはほぼ定額でかかる支出」、変動費を「日々の生活次第で毎月変わる費用」と定義しています。

迷ったときは、その支出が自動的に発生するか、それとも自分の行動で変わるかを考えると判断しやすくなります。

たとえば水道光熱費は、基本料金部分は固定費、使用量に応じた部分は変動費と捉えることもできます。

表を使って整理する方法

視覚的に整理したい場合は、表形式でまとめるのが効果的です。以下のように項目を並べると、家計の全体像が一目で把握できます。

固定費の項目 変動費の項目
住居費(家賃・住宅ローン) 食費
水道光熱費(基本料金) 外食費
通信費(基本料金) 日用品費
保険料 交際費
教育費(授業料) 娯楽費
サブスクリプション料金 被服費

家計管理に活かすためのポイント

固定費と変動費を分けたあとは、その情報をどのように活用すればよいのでしょうか。効果的な家計管理につなげるためのポイントを押さえておきましょう。

固定費の見直しから始める

節約を考える際、多くの人が食費や交際費といった変動費から手をつけがちですが、実は固定費の見直しのほうが効果的です。固定費は一度削減すれば毎月自動的に節約効果が続くため、我慢する意識を持たずに家計を改善できます。

たとえば通信費のプランを見直したり、不要なサブスクリプションを解約したりするだけで、年間で数万円の節約になることも珍しくありません。

変動費は予算を決めて管理する

変動費については、項目ごとに月の予算を設定するのがおすすめです。「食費は3万円まで」「娯楽費は1万円まで」といった具合に上限を決めておくと、使いすぎを防ぎやすくなります。ただし、あまり厳しく制限しすぎると続かないため、少し余裕を持たせた予算設定が長続きのコツです。家計簿アプリを使えば、リアルタイムで残高が確認できるため、予算管理がさらにスムーズになります。

定期的に見直しを行う習慣をつける

家計は一度整理して終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。

結婚や出産、転職、引っ越しなどライフステージが変化したタイミングでは、支出の内訳も大きく変わります。少なくとも半年に一度は家計を振り返り、固定費と変動費のバランスが適切かどうかを確認しましょう。

収入の約45%を固定費、約35%を変動費、残りを貯蓄に回すという目安を参考にすると、健全な家計を維持しやすくなります。

無理なく続けるための工夫

家計管理を長く続けるには、自分に合った方法を見つけることが何よりも大切です。完璧を目指しすぎず、できる範囲で取り組む姿勢が成功の鍵になります。

家計簿は簡単なものから始める

家計簿をつけるのが苦手な人は、項目を細かく分けすぎないことがポイントです。最初は「収入」「固定費」「変動費」「貯蓄」の4つに大きく分けるだけでも十分に効果があります。

慣れてきたら、必要に応じて項目を増やしていけばよいでしょう。家計簿アプリを使えば、レシートをスマートフォンで読み取るだけで自動的に記録できるため、手間を大幅に減らせます。

使途不明金をなくす意識を持つ

家計を整理していると、どうしても「何に使ったか分からないお金」が出てくることがあります。この使途不明金を減らすだけでも、家計は見違えるように改善します。

数日間だけでも、すべての支出をメモする習慣をつけてみると、無意識に使っているお金の流れが見えてきます。

ストレスを溜めない工夫をする

節約を意識しすぎて生活の楽しみを失ってしまっては本末転倒です。変動費を削る際には、自分や家族にとって大切なものは残し、優先順位の低いものから見直すようにしましょう。

たとえば外食は月に1回だけ贅沢な店を選ぶ、趣味の費用は予算内で思い切り楽しむといった工夫をすれば、満足感を保ちながら節約を続けられます。

固定費と変動費を分けて考える習慣は、家計の健全化に向けた第一歩です。無理なく続けられる方法を見つけて、将来の安心につながる家計を築いていきましょう。