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月の支出を見直すときに確認すべきこと


支出を効果的に削減するには、毎月決まって支払う固定費の確認が重要です。固定費は一度見直せば継続的な効果が得られるため、優先的に取り組むべき項目といえます。

住居費の適正化

家計の中で最も大きな割合を占めるのが住居費です。賃貸の場合は家賃、持ち家の場合は住宅ローンの返済額を確認しましょう。

手取り収入に対する住居費の割合が30%を超えている場合は、家計を圧迫している可能性があります。引っ越しや住宅ローンの借り換えを検討する価値があるでしょう。

手取り収入の30%以内が住居費の目安

通信費の最適化

スマートフォンやインターネット回線の料金は、プランの見直しで大きく削減できる項目です。使用していないオプションサービスがないか、データ通信量が実際の利用状況に合っているかを確認しましょう。

格安SIMへの乗り換えや、家族割引の活用も有効な手段となります。

保険料の再点検

生命保険や医療保険などの保険料も、ライフステージの変化に応じて見直しが必要です。過剰な保障内容になっていないか、重複している保障がないかを確認することが大切です。

確認すべき保険の種類

  • 生命保険(死亡保障の必要額が現在の状況と合っているか)
  • 医療保険(入院給付金の日額や保障内容の妥当性)
  • 自動車保険(車両保険の必要性や補償内容)
  • 火災保険(補償範囲と保険料のバランス)

変動費の管理方法

固定費の次に着目すべきなのが、月によって金額が変わる変動費です。食費や日用品費、娯楽費などが該当し、日々の意識で削減できる項目が多く含まれます。

食費の適正範囲

食費は家族構成によって大きく異なりますが、一般的には手取り収入の15~20%程度が目安とされています。外食の頻度や食材の購入方法を見直すことで、無理のない範囲で削減が可能です。

世帯人数 月間食費の目安
単身世帯 3~4万円
2人世帯 5~7万円
3人世帯 7~9万円
4人世帯 8~10万円
外食費と食材費を分けて管理すると見直しやすい

日用品費と娯楽費の把握

洗剤やティッシュなどの日用品費、趣味や交際費などの娯楽費は、使途が曖昧になりやすい項目です。1か月間レシートを保管して、何にいくら使っているのか具体的に把握することから始めましょう。

支出の見える化の方法

家計簿アプリやクレジットカードの明細を活用すると、支出の傾向が把握しやすくなります。カテゴリー別に分類された支出データを確認することで、削減すべき項目が明確になります。

特に「その他」の項目が多い場合は、使途不明金が多い可能性があるため注意が必要です。

収支のバランスを確認する


支出項目を見直した後は、収入と支出の全体的なバランスを確認することが重要です。日本FP協会の便利ツールを活用すると、現在の家計状況を客観的に把握できます。

年間収支の計算

月々の収支だけでなく、年間単位での収支を確認することで、ボーナス時期の支出や年払いの保険料など、変動の大きい項目も含めた正確な家計状況が見えてきます。

確認項目 チェックポイント
年間収入 給与・ボーナス・副収入の合計
年間支出 固定費・変動費・特別費の合計
年間貯蓄額 収入から支出を引いた金額
年間収支がマイナスなら早急な見直しが必要

貯蓄率の目安

理想的な貯蓄率は手取り収入の20%以上とされていますが、家族構成やライフステージによって異なります。子育て世代は教育費の負担が大きいため、10~15%程度でも十分な場合があります。

ライフステージ別の貯蓄目標

独身期や子どもが独立した後は貯蓄率を高めやすい時期です。一方、住宅購入直後や子どもの大学進学時期は、一時的に貯蓄率が下がることも想定しておく必要があります。

重要なのは、収入から先に貯蓄分を差し引く「先取り貯蓄」の仕組みを作ることです。残ったお金を貯蓄しようとすると、なかなか貯まりません。

将来の支出に備える計画を立てる

月々の支出管理だけでなく、将来発生する大きな支出への備えも重要です。総務省統計局の家計調査などのデータを参考にしながら、現実的な計画を立てましょう。

ライフイベントごとの必要資金

結婚、出産、住宅購入、子どもの進学など、人生の節目には大きな資金が必要になります。これらのイベントがいつ頃発生するか想定し、計画的に資金を準備することが大切です。

  • 結婚費用:300~500万円程度
  • 出産費用:50~100万円程度
  • 住宅購入の頭金:物件価格の20~30%
  • 大学進学費用:国公立で約500万円、私立で約700万円~
教育費は最も計画的な準備が必要な支出

予備費の確保

予期しない出費に対応するため、生活費の3~6か月分程度の予備費を確保しておくことが推奨されます。病気やけが、家電の故障など、突発的な支出に慌てないための備えとなります。

特別費の予算化

帰省費用や冠婚葬祭費、家電の買い替えなど、毎月ではないものの定期的に発生する支出を「特別費」として予算化しておくと、家計管理がスムーズになります。

年間で必要な特別費を洗い出し、12か月で割った金額を毎月積み立てる方法が効果的です。突然の出費で家計が苦しくなる事態を防げます。